録音の検索結果

コスタ ジャンヌとほかのミュージシャンの間には違いがあります。ジャンヌは歌を歌いたがっていますが、しかし歌手ではありませんし、歌手になろうとしているわけでもありません。毎日スタジオにはいません。ルドルフはといえば、毎日ギターを弾いていて、これまでもずっとレコードを作ってきました。彼はミュージシャン…
インタビュー
Introduction  ペドロ・コスタには、抑圧的な言葉がまとわりつく。それは彼の作品に対する批評に限らず、長い期間スラムで被写体と生活をともにしつつ、ローキーで撮影を進める彼自身の制作姿勢や、さらにはそうして撮り上げられた画面が湛える冷徹な美しさがいやがおうにも見るものの言葉を奪い、やたらな…
インタビュー
Introduction  ミャンマー軍事独裁国家に潜伏したビデオジャーナリスト=VJたちが撮った映像をもとに、2007年に僧侶たちが起こした革命的なデモを描いた 『ビルマVJ 消された革命』。小型デジタルカメラとインターネットという現代のメディアを武器に、顔のない映像作家たちが残した無数の映像の…
インタビュー
[英語] Introduction  今年の山形のコンペティションにおいてもっとも奇妙で魅力的な題材を扱ったフィルムは、ハルトムート・ビトムスキーの『塵』だろう。そう、あのチリやホコリの塵である。ビトムスキー監督はドキュメンタリー・フィルムの巨匠として知られ、ストローブ=ユイレやヴィム・ヴェンダー…
インタビュー
国際会議『SOUND CONTINUUM』 21世紀の録音文化を問う国際会議 「録音」という領域が、従来の音楽史や映画史の中で、明確に意識化され語られる機会はこれまでありませんでした。それは、録音が音楽や映画に従属する技術としてのみ捉えられてきたからにほかならないのではないでしょうか?メディア技術…
編集部
「写真/瀧本幹也」  是枝裕和の長編劇映画第7作『空気人形』は、突然人間と同じ「心」を持ってしまったラブドール(=「空気人形」)のはかない恋模様をめぐる寓意的な「ファンタジック・ラブストーリー」として、現在話題を集めている。  レヴューの読者はいささか面食らうかもしれないが、最初にこの映画に関する…
渡邉大輔
 『シネマ坊主』シリーズとして単行本化された松本人志の映画コラムは、既存の映画がいかに無意味な約束事にしばられているかをその都度、指摘していくことによって延々と書き継がれていた。不自然なハッピーエンドやお約束のセリフ、どうして映画だとこれらが許されるのか。そう語ってきた松本は、自分で撮る側にまわっ…
三浦哲哉
Chris Watson: Field Recording Workshop クリス・ワトソン:フィールド・レコーディング・ワークショップ 世界的知名度を誇るフィールド・レコーディングの第一人者、クリス・ワトソンが録音について公開ワークショップを実施します。BBCドキュメンタリーでの野生動物や自然…
編集部
第2部 2-1 プログラムピクチャーについて ──プログラムピクチャーが量産されていた時代には、2本立て興行の添え物の低予算映画の方に新人があてがわれるため、そこから意欲的な作品が登場するというような現象が多くあったようですね。内藤監督もそのような状況から出発されたわけですが、当時の低予算映画はど…
インタビュー
 すでに小さな話題になっているようであるが、『月夜のバニー』の主人公の母親役に私もいたく感銘を受けた。皺の刻まれた夏木マリ系の相貌が未だにひとまわり年下の男と寝もする女性の深い業を感じさせ、また、相手への半ば軽蔑の色をたたえたその眼差しは長い年月をかけてあらゆる幻滅に馴れていった年増女の凄みを感じ…
三浦哲哉
 東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻の修了作品として制作され、第9回東京フィルメックスのコンペ部門に選出された濱口竜介監督の『PASSION』は、巧緻に作曲されたフーガを思わせる。主題となる旋律のように、俳優たちの語る言葉が、トーンを変えながら響き、カットとカットのつながりが構造的に変化してゆく…
インタビュー
 この映画の冒頭を飾る一連のシークエンスは、まさしく「ロメールの署名」と呼ぶにふさわしいものだ。『我が至上の愛』の原作であるオノレ・デュルフェ(1568-1625)の長編小説『アストレ』は、現在ロワールと呼ばれる旧フォレ地方を舞台としている。しかし昨今の都市開発にともなう雑音の問題から、この地での…
星野 太
 アメリカ人の一家が湖畔の別荘へと車を走らせている。彼らはそこで夏のヴァカンスを過ごすのだろう。一家は車内でクラシック音楽の曲当てクイズを楽しんでいる。作品はボートを牽引する4WD車を上空から捉えた俯瞰ショットと、ヘンデルのオペラによって幕を開ける。車が別荘に近づくとカメラは車内へと移るのだが、一…
大谷昌之
 『ロルナの祈り』に2008年のカンヌ国際映画祭が脚本賞を与えたのは、率直に言って悪くない判断なのではないか、と勝手に思っていた。賞が質を保証するというのはまやかしには違いないのだけれど、カンヌ4作連続主要賞受賞という「失敗のなさ」は、何かにつけ話の矛先が向かいがちな「社会派」的なモチーフやドキュ…
中村真人
 『ばけもの模様』は、今年6月に劇場公開された石井裕也監督の第4作にして最新長編である。さらに製作じたいは昨年(2007年)のことであり、日本での一般公開に先駆けて海外の国際映画祭での上映歴もあるので、レヴューとしてはかなり時期はずれの作品になるだろう。とはいえ、現在の日本映画では最も若い世代に属…
渡邉大輔
 自然な表情とはなにか。さしあたりこの問いに対して、顔面に数十ほど分布している表情筋の収縮と弛緩の精妙なバランスによってそれは生み出される、と定義を与えて満足しておくことにしよう。そうするとそこから直ちに不自然な表情というものの定義も演繹されるのであって、つまりそれは、表情筋の運動の度を越したアン…
門林岳史
辞書を引けばまず「地下鉄」と出てくるからには、地下を走るのが今では当たり前のパリのメトロが、19世紀末には、高架を走らせるか地下を走らせるかをめぐって、激しい議論が繰り広げられていたのは、比較的よく知られている。結局この論争は「地下派」が勝利し、やがて私たちが今日知るようなトンネル網が張り巡らされ…
橋本一径
2008年4月初旬、新作『コロッサル・ユース』(2006)を携えペドロ・コスタが東京に降り立った。すでに何度か来日し、小津への敬愛を隠さず公言する彼にとり、日本は馴染みが深い国だというべきなのかもしれない。『血』(1989)、『溶岩の家』(1994)など初期の傑作を見たばかりであった私は、『ヴァン…
インタビュー
 冒頭、一瞬だけ映し出された砂丘のイメージは、その向こうにあるはずの海を想像させる。8mmで撮られた海。だが海は映されない。虚ろな表情の女性が通り過ぎ、砂のイメージだけが残される。その後『砂の影』は、その大半を薄暗い室内シーンに費やすことになる。  そこで、この作品の制作者たちが8mmフィルムを選…
三浦哲哉
 闇の中で仄かに浮き上がるむき出しのコンクリートの廃墟の3階から、静けさを突き破るように、家具が放り出される。ひとつ、またひとつ。不気味に広がる場末の闇に落下する家具の破壊音が響き渡り、もう取り返しがつかない事態が進行していることを告げる。次に階段の暗がりでナイフを突きつけ、鋭い眼光を放つ老女のシ…
舩橋 淳
Introduction リー・カンション(李康生)は、ツァイ・ミンリャンの主演俳優であることにとどまらず、映画作家としてもその独特な存在感を強め始めている。処女作の『迷子』(2003)で、無為のような弔いの時間を着実なかたちに演出してみせた彼は、新作『ヘルプ・ミー・エロス』(2007)においては…
インタビュー
4.ピンク映画からテレビ・コマーシャルの世界へ ──伊東英男さんの助手につかれてしばらく映画をやったあとにテレビ・コマーシャル撮影のほうに移行されていきますが、どういった経緯だったのでしょうか。 芦澤:ある時に、テレビ・コマーシャル(以下「TVCF」)のほうで人手が足りないということで撮影に呼ばれ…
インタビュー
Introduction  キャメラマン芦澤明子が手がけてきた仕事にはきわめて幅広いグラデーションがある。この1年間に劇場公開された主な作品は、『LOFT』『叫』(黒沢清監督)、『サンクチュアリ』『刺青 堕ちた女郎蜘蛛』(瀬々敬久監督)、『スキトモ』『屋根裏の散歩者』(三原光尋監督)、『世界はとき…
インタビュー
 音がきこえてくる。映画は音とともにはじまる。……本日の牛肉市場はキログラムあたり……さて今晩の料理ですがまずは鶏肉をオーブンで……禁欲的な生活を営むべし、さもなければ地獄に……ピッチャーふりかぶります、第1球投げたー! ……今夜の渋滞はいかがですか? 現場の状況です……とラジオのチャンネルが切り…
三宅 唱
 映画は記録する。時間の流れに逆らうことも、取捨選択することもなく、キャメラはオートマティックに事物を写し撮る。映画はまた攪乱もする。現実世界の何気ないディテールも、機械的な無反省さをもって記録され、スクリーンに投影されると、日常的な視線を戦かせる非現実性をまとうことがある。さらに投影のシステムと…
石橋今日美
『愛の誕生』  フィリップ・ガレルの『愛の誕生』(1993)は、ベッドルームやカフェや自動車の中などの声を張り上げる必要のないような静謐な空間で、囁くように言葉を投げかけあう幾人かの、もう若くはない男女の顔が印象的なフィルムだ。カメラは、彼らの傍らに置かれ、じっくりと被写体を凝視する。簡素なモノク…
寺岡ユウジ
 アピチャッポン・ウィーラセタクンはすでに数々の国際映画祭から高い評価を得ている、1970年生まれのタイ出身の映画作家だ。東京フィルメックスでは第1回に『真昼の不思議な物体』(2000)が、第3回に『ブリスフリー・ユアーズ』(2002)が、第5回には『トロピカル・マラディ』(2004)がそれぞれコ…
インタビュー
海雲臺(ヘウンデ)  第11回釜山国際映画祭が、10月12日から20日までの期間で開催された。海岸リゾート地の海雲臺(ヘウンデ)をメイン会場にして上映された作品は、”New Currents”と称されるコンペティション、最新の韓国映画をパノラマする”Korean Cinema Today”、欧米映…
衣笠真二郎
目次 7.マルチトラック ……技術の進歩は素晴らしい…… 8.音の響き ……『ヌーヴェル・ヴァーグ』は、CDとして聴けるくらいに音楽的なものに近づいていった…… 9.音作りの全ての領域 ……自分で録音した俳優の声は官能的に響くのです…… 10.組んでみたい監督 ……いまもっとも一緒に働いてみたい映画…
インタビュー
 芥川賞受賞の経歴もある新進気鋭の小説家(中谷美紀)は、新作の執筆に行き詰まってしまったことから気分転換のために引っ越しすることを思い立つ。殺風景な都内のマンションから緑あふれる郊外の一軒家へと居を移した彼女は、その家の真裏にすすけた廃屋を発見する。その建物はある大学の研究施設として利用されている…
衣笠真二郎
4.映画音楽について ……企画の段階から決まっていることはほとんどありません…… 5.フレーム外の音 ……ゴダールは現場でおきている全ての音に興味がある…… 6.音のリアリティー ……ストローブ=ユイレのシンクロの考えには理解できないのです…… 4. 映画音楽について ……企画の段階から決まってい…
インタビュー
Introduction  2003年夏、ヨーロッパでは記録的な猛暑のために各地で山火事があとを絶たなかった。そんな中、わたしたちはスイスのローザンヌから車を飛ばしてイタリア・ジェノバへと向かっていた。当時、シルヴィオ・ソルディーニ監督作品、『アガタと嵐』(2004)を撮影中であったフランソワ・ミュ…
インタビュー
目次 6.スタッフワーク ……「風が吹かないね」っていったら、青山さんは「そういうところなんじゃないの」っていうのね…… 7.シンクロと無意識 ……予測を裏切られたときに、人は拠って立つ所を奪われます… 8.菊池信之フィルモグラフィー 6.スタッフワーク ……「風が吹かないね」っていったら青山さ…
インタビュー
目次 3.音の発見 ……音と出会ったときにどう交流していくのかっていうのが一番大事なこと…… 4.ミキシング-現実の再構成 ……なにかを打ち破っていくような空間性が出ればいいと思います…… 5.ガンマイクとワイヤレスマイク ……基本的にはガンママイクひとつで…… 3.音の発見 ……音と出会った…
インタビュー
Introduction  本インタビューは、菊池信之氏が録音として参加した『エリエリ・レマ・サバクタニ』が公開されたばかりの2006年3月6日、渋谷のユーロスペース事務所で行われた。録音技師の菊池氏は、青山真治、諏訪敦彦、萩生田宏治、ジャン=ピエール・リモザン、そして小川紳介らの監督作品にこれまで…
インタビュー
&uotIntroduction  恋人はまだ描けない。そう語る西川美和監督の言葉は、私たち観客にとっての幸福を意味するのかもしれない。生まれつきの詐欺師のような兄と真面目で正義感が強い教師の妹のコントラストのうちに、熟年サラリーマン家庭の崩壊を描いた長編処女作『蛇イチゴ』(2002)。リストラされ…
インタビュー
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