東京国際映画祭の検索結果

『ギリギリの女たち』(2011年)を見たのは、昨年秋の第24回東京国際映画祭の特別上映「震災を越えて」でのことだった。小林政弘監督が宮城県気仙沼市の被災地に所有する家を舞台に、震災を機に再会を果たした三姉妹による愛憎劇ということで、上映の枠組みといい、当初は3.11が「フィクション」のスクリーンで…
編集部
 今年のカンヌ映画祭における、テレンス・マリックの最高賞パルム・ドール受賞という何の驚きも無い結末は、映画祭のコンペティションは如何に在るべきかを改めて問いかけた。確かに、圧倒的な映像美によって生命誕生から一組の父子の物語までを綴る壮大な交響詩『ツリー・オブ・ライフ』は、パルム・ドールに相応しい作…
瀬尾尚史
 命はどこまで広がりを持っているのだろう? 「幸福な」命と「不幸な」命などというものがあるのだろうか? 私たちは命について人間中心に捉えがちだ。だが、私たち自身から焦点をずらしてみると、まったく異なる世界、そこに息づく「いのち」のサークルが見えてくる。  『四つのいのち』は決して「難解な」フィルム…
インタビュー
 香港国際映画祭会期中の見本市FILMARTで見たオムニバス作品『台北24時』が、東京国際映画祭でお披露目となった。上映にあわせて、8つのエピソードの中で秀逸の仕上がりだった短編 “Remembrance”の監督リー・カンションが来日。ツァイ・ミンリャン監督が俳優として登場する点でも見逃せない本作…
インタビュー
 来年度の国際映画祭サーキットで再び話題をよびそうな石井裕也監督の新作『君と歩こう』(『川の底からこんにちは』[2009]とともに2010年劇場公開予定)。本サイトでもすでに取り上げた独自の石井ワールドが、いかなる変貌をとげているのか、海外からのゲストも興味津々。『君と歩こう』は、片田舎の女性英語…
石橋今日美
 今年1月〜2月初頭に開催されたロッテルダム国際映画祭では、トルコ映画特集が組まれていた。偶然だが、世界各国の監督の長編第1、2作を集めたコンペティション部門でタイガーアワードを受賞した3本のうちの1本が、トルコ出身のマフムト・ファズル・ジョシュクンの『二つのロザリオ』(2009)だった。“Wro…
石橋今日美
 “Action ! For Earth”とエコ・環境問題に対するメッセージをより強く打ち出した第22回東京国際映画祭が10月17日より開幕した。今年は『アモーレス・ペレス』(2000)、『バベル』(2006)で知られるメキシコ出身の映画監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥを審査委員長に、1…
石橋今日美
オルタナティブ・シネマ 時代の未明から来るべき映画たち 『ラザロ-LAZARUS-』(井土紀州)、『国道20号線』(富田克也)、『へばの』(木村文洋)といった、製作から配給宣伝までを、すべて自らの手で行うインディペンデント映画が増えつつある。これはインディペンデント映画の新たな可能性の兆候な…
編集部
●コスタの言葉  私事で恐縮だが、ニューヨークから日本へ居を移し、もう1年が経った。当初は一時帰国のつもりで、ニューヨークで撮影する次回作の準備が整い次第とんぼ帰りする気概でいたのだが、東京の高密度なシネフィル・コミュニティにいったん触れてしまうと、その刺激に陶酔してしまい自作よりもよほどおもしろ…
舩橋 淳
 エリック・ロメールの最新作が、オノレ・デュルフェ作の仏古典文学『アストレ』の映画化であると知ったのは数年前、東京国際映画祭のマーケットで日本の配給会社を探していた製作スタッフと出会ったときのこと。当時、入手したシナリオは残念ながら英語版で、ロメールが偏愛する古典フランス語の美しさを読み解くには至…
インタビュー
 04年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞と女優賞をW受賞した『ヴェラ・ドレイク』(2004)の監督マイク・リーの新作、WORLD CINEMA部門出品の『Happy-Go-Lucky』(2007)。一瞬「リー違い」(スパイク・リー)?!と思ってしまうほど、一変した作品世界に驚く。まさにタイトルを体現…
石橋今日美
 海外アニメーション・夏の陣では、パンダにカンフー、北京五輪、とあまりにも安易すぎる組み合わせではないか、と一瞬思わずにはいられないドリームワークスの新作『カンフー・パンダ』(2008)が、いい意味で予想を裏切る作品だった。主人公は、中国の山深くにある「平和の谷」でラーメン屋を営む父を手伝うパンダ…
石橋今日美
 映画は時間の芸術である、などと書くと、埃をかぶった映画の教科書を開いてしまったような気もあるが、WORLD CINEMA部門出品『シルビアのいる街で』(バルセロナ出身の監督ホセ・ルイス・ゲリン、2007)はまさに映画独自のアート性を軽やかかつ親密に証明してくれる。物語はひとりの青年(近寄りがたく…
石橋今日美
 17年ぶりに日本公開される、イエジー・スコリモフスキの新作、コンペティション部門『アンナと過ごした4日間』(4 Nights with Anna, 2008)。ティーチインでは、「可もなく不可もないような映画しか作ることができませんでした」という状態から映画に関しては活動を休止し、本格的に絵画に…
石橋今日美
 『一緒にいて』(Be With Me, 2005)をめぐって、仏映画評論ジャーナリズムでは、ちょっとした論争が起こったが、日本では一度も一般公開されていない、シンガポールを代表する監督エリック・クーの最新長編、「アジアの風」部門選出『私のマジック』(My Magic, 2008)。『一緒にいて』…
石橋今日美
5.批評家の才能 6.フィクションについて 5.批評家の才能 ──今後も新作映画について発言しようという意志を先生はまだお持ちであるとお見受けしたのですが。 蓮實:1本の作品をそれにふさわしく評価し、最低2400字でレヴューを書くとなると少なくとも2度は見なければならないし、ときには1回しか見られ…
インタビュー
 エルンスト・ルビッチ(1892-1947)のトーキー時代に、『天使』(1937)、『桃色の店』(1940)をはじめとする9本の作品で抜群のコンビを組んだ脚本家サムソン・ラファエルソン(1894-1983)は、1943年のある日、「ルビッチ心臓発作にて倒れる」との報を受ける。秘書からルビッチ危篤の…
土田 環
【10/24 火曜日】  今日は六本木ヒルズで開催される「全国映画祭コンベンション──”映画祭の現在”」へ出席する。第1部のシンポジウムでは、「ゆうばり映画祭を考える市民の会」代表の澤田直矢氏、「山形国際ドキュメンタリー映画祭実行委員会」事務局長の宮沢啓氏、「あおもり映画祭」実行委員長の川島大史氏、…
三浦哲哉
【10/21 土曜日】  第19回東京国際映画祭が開幕した。16時から、六本木に敷かれたレッドカーペット上に内外の映画人たちが続々と登場し活況を呈したが、オープニング作品を監督した御大クリント・イーストウッドの姿はそこにはなかった。『父親たちの星条旗』と、続く『硫黄島からの手紙』のプロモーションのた…
三浦哲哉
海雲臺(ヘウンデ)  第11回釜山国際映画祭が、10月12日から20日までの期間で開催された。海岸リゾート地の海雲臺(ヘウンデ)をメイン会場にして上映された作品は、”New Currents”と称されるコンペティション、最新の韓国映画をパノラマする”Korean Cinema Today”、欧米映…
衣笠真二郎
Phantom (F.W. Murnau, 1922) Flicker Alley ☆昨年の特集上映「ドイツ時代のラングとムルナウ」でようやく見ることのできたF・W・ムルナウの隠れた傑作『ファントム』がついにDVD化。「リアリスト」ムルナウが最も「表現主義」に接近した1本。 Letter from…
葛生 賢
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