オルタナティブ・シネマ&舩橋淳『谷中暮色』

編集部

オルタナティブ・シネマ

時代の未明から来るべき映画たち

『ラザロ-LAZARUS-』(井土紀州)、『国道20号線』(富田克也)、『へばの』(木村文洋)といった、製作から配給宣伝までを、すべて自らの手で行うインディペンデント映画が増えつつある。これはインディペンデント映画の新たな可能性の兆候なのか、あるいは既存の映画システムの崩壊と軌を一にした単なる必然なのか。 今秋、『行旅死亡人』(井土紀州)、『TOCHKA』(松村浩行)、『谷中暮色』(舩橋淳)という、製作から配給宣伝までを自らおこなう話題作・意欲作が、相次いで劇場一般公開される。これら「オルタナティブ・シネマ」をめぐって、映画作家の対話と、初期作品上映を通して、ゲリラ映画の時代をいかに生きぬくかを検証する。

【上映プログラム】

10月27日(火)

15:00~上映
『Talkie & Silence』 1999年/16mm→DV/17分
製作・脚本・編集・監督:舩橋淳

『echoes エコーズ』  2000年/16mm/72分
監督・プロデューサー・脚本:舩橋淳
撮影監督:エリック・ヴァン・デン・ブルー、製作統括・キャスティングディレクター:アリサ・ジョー・ブラック、楽曲提供:山中 透、オリジナル・ミュージック:デイヴィッド・ウルマン
CAST:エデン・ラウントゥリー、パオロ・パグリアコロ、アリソン・ライト、ほか
NYで生活していた舩橋淳が仲間を集め、雑誌でキャストを募集したインディーズ作品。触れ合っても、言葉を交わしても消えることのない“距離”を静かに捉え、そこに通い合う“微かな響き=echoes”を聞き取ろうとする、NYの若者たちの孤独を描いた作品。8年振りの日本上映。

◆ 16:50~上映
『よろこび』 1999年/16㎜/32分
監督・脚本:松村浩行
CAST:遠山智子、西山洋一、泉雄一郎、万田邦敏、ほか
謎の中小企業「リズム社」に勤務するアオシギは単調な生活を営んでいた。多様な人物との出会いや別れを経験することで、やがて新しい人生へと目覚めていくかに見えたのだが…。「戦争=争議映画」を夢想して作られたものの主人公ばかりか監督までもが遁走の末に疲れ果てて眠り込んでしまったというまるでその後の十年を暗示するような映画である。

『YESMAN/NOMAN/MORE YESMAN』  2002年/DV/70分
監督: 松村浩行 CAST:Felix Owusu、永野雄太、 凌雲鳳、ほか
能曲を翻案したブレヒトの弁証法的連作教育劇「イエスマン初稿」「ノーマン」「イエスマン第2稿」を時系列通りに映画化した作品。病気の母親のいる少年が薬を求めて危険な山越えの旅に同行するが自らも罹病してしまう。村に伝わるしきたりがかれの「処置」を迫る。

『つかのまの秘密さ海の城で~水無月蜜柑試篇』 2005年/DV/23分
出演:あがた森魚、田口昌由、渡辺ゆきこ、ほか
2005年初夏のあがた森魚北海道ツアーに同行して作られた、まったくデラックスじゃない短編記録映像。あがた氏が朗読する北園克衛の詩にブニュエルが乱反射し、当時急逝したばかりの高田渡の影もちらつく。完成後、神楽坂のライブハウスで一回だけ上映された。 最初で最後(?)のレア上映。

◆ 19:00~ トークショー
松村浩行(映画監督) × 舩橋淳(映画監督) × 井土紀州(脚本家・映画監督) × ほか

【プロフィール】
舩橋淳(ふなはしあつし) Atsushi Funahashi
1974年大阪生まれ。東京大学教養学部表象文化論科卒。ニューヨークにて映画製作を学び、数本の短編映画を作る。自主製作で完成させた初の長編映画『echoes』(00)は、アメリカ人社会をユニークな視点で見つめ直した作品として、欧米の映画祭でも注目を集めた。続く『ビッグ・リバー』(06)はアメリカ・アリゾナを舞台に、オダギリジョー主演で話題を呼ぶ。07年9月に10年住んだNYから谷中へ移住。最新作『谷中暮色』がシネマート新宿にて公開。

松村浩行(まつむらひろゆき) Hiroyuki Matsumura
1974年北海道札幌市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、映画美学校第二期フィクション科に入学、映画制作を学び始める。初監督作品『よろこび』(99)がユーロスペースにてレイトショー公開、01年ドイツ・オーバーハウゼン国際短編祭・国際批評家連盟賞を受賞。その後ブレヒトの教育劇に基づく実験作『YESMAN/NOMAN/MORE YESMAN』(02)を発表。最新作『TOCHKA』は、09年東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門にて上映され、渋谷ユーロスペースにて公開。

■料金 一般=1400円(各回入替なし) アテネ・フランセ文化センター会員=1回券1000円 (トーク無料、ただし当日上映をご鑑賞の方のみ)
※ 文化センター会員入会をご希望の方は登録が必要になります。 登録料:一般=1500円/アテネ・フランセ学生=1000円
■ 会場 アテネ・フランセ文化センター
  東京都千代田区神田駿河台2-11 
アテネ・フランセ4F 03-3291-4339(13:00-20:00)

■ お問合わせ yskw012@yahoo.co.jp (担当:吉川)
■ 主催 映画集団Node
■協力 アテネ・フランセ文化センター 映画美学校 TOCHKA UNION Big River Films

谷中暮色(やなかぼしょく) Deep in the Valley

59回ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式招待作品
舩橋淳監督作品
10月31日(土)より、シネマート新宿にてモーニングショー!!
若者たちの恋物語と幸田露伴『五重塔』の世界が融合したドキュ・フィクション
幻の映像を探し求める谷中への旅

◆舞台は東京下町の谷中。古いホームムービーの保存・修復活動をしているかおりは、昭和32年に焼失した<谷中五重塔>とその姿を記録した8ミリフィルムの存在を知る。寺院、霊園の墓守、伝統工芸の職人、郷土史家に取材を試みながら、ありし日の塔に思いを馳せるかおり。はたして幻の8ミリフィルムは現存しているのか。そんなとき彼女は地元のチンピラ・久喜と出会い、ひょんなことから協力してフィルム探しをすることに。若い二人は互いに惹かれあってゆく。
 一方、時代を遡ること江戸中期、五重塔の建設に燃える大工十兵衛は、親方や妻お浪の反対を押し切り、独力で塔を作り上げようとしていた。彼を突き動かす想いとはいったい何か?
 寺町谷中のドキュメンタリーと、現代と江戸時代を往復するフィクションが渾然一体となり、伝統と創造の意味を問いかける。

◆失われし古き伝統と無関心がはびこる現代を対照的に描き出す本作は、ドイツ、イギリス、香港など国際映画祭でも高く評価された。そもそも江戸の心意気を残した下町谷中に、現代東京の若者を放り込むとどうなるか?という舩橋監督のアイデアからスタートした企画。ドキュメンタリーとフィクションの融合、現代劇と時代劇の往還によるオリジナリティー溢れる映画創造を試み、ついに長編映画として完成した。出演は地元の伝統工芸職人や郷土史家、お寺の墓守などの「谷中びと」と、ENBUゼミナールの俳優たち。時代劇パートの原作は幸田露伴『五重塔』。
 撮影は『ドッペルゲンガー』『禅』の水口智之。そしてシンガー畠山美由紀がエンディングテーマ「This is Good Bye」を歌う。舩橋淳監督は前作『ビッグ・リバー』(主演:オダギリジョー)に続いて、ベルリン国際映画祭ワールドプレミアという快挙を成し遂げた。

監督・脚本・編集:舩橋淳(『echoes エコーズ』『ビッグ・リバー』)
共同脚本:根岸彩子、撮影:水口智之、照明:関輝久、音楽:ヤニック・ダジンスキー
出演:野村勇貴、佐藤麻優、加藤勝丕、小川三代子
製作:ENBUゼミナール、Big River Films
2009年/日本/107分/HD/パートカラー/1:1.77
配給・宣伝:Big River Films
オフィシャルサイト: www.deepinthevalley.net (予告編も掲載)

劇場:
10月31日よりシネマート新宿にてモーニングショー。連日 11:10 am 上映スタート!
シネマート新宿
: 東京都新宿区新宿3丁目13−3
新宿文化ビル 03-5369-2831
www.cinemart.co.jp

トークイベント(連日11:10の回上映後)
10月31日 初日舞台挨拶  野村勇貴、佐藤麻優(主演)、 舩橋淳監督
11月3日  中沢新一(人類学者) × 舩橋淳監督
11月14日  万田邦敏(映画監督「接吻」「ありがとう」)× 舩橋淳監督

お問い合わせ
BIG RIVER FILMS
配給・宣伝担当 松田好孝 吉川正文
Email : yanakaboshoku@gmail.com

23 Oct 2009
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