第22回東京国際映画祭レポート vol.1

“Action ! For Earth”とエコ・環境問題に対するメッセージをより強く打ち出した第22回東京国際映画祭が10月17日より開幕した。今年は『アモーレス・ペレス』(2000)、『バベル』(2006)で知られるメキシコ出身の映画監督アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥを審査委員長に、15本のフィルムがコンペティションを競い合う。特別招待作品にはサム・ライミの新作『スペル』(2009)、今年のカンヌのオープニングを飾った『カールじいさんの空飛ぶ家』(ピート・ドクター監督、2009)など話題作が集まり、「アジアの風」は、東アジアから中東までの俊才をフォーカス。「日本映画・ある視点」では個性豊かな若手監督たちの新作が披露される。メイン会場はお馴染みの六本木ヒルズだが、日常のビジネスのための巨大なビルや商業施設に圧倒される空間で、なかなか映画祭の「ヴィレッジ」的な盛り上がりを肌で感じることが難しい。とはいえ、チケットがネット上であっという間に完売した作品もあり、プレスなどのバッジホルダーだけでなく、幅広い層の観客が足を運んでいる印象を受けた。

ステレオタイプな軍隊と市民の対立、それにまつわる群衆の悲劇の演出をあまりにも軽々と、誰にも真似できないスケールで超えてしまう「途方もなさ」がここにはある。かつてインタヴューしたアモス・ギタイはパレスチナ問題について、「疲労がすべてを終わらせる」と語っていた。スレイマン作品には、涙が枯れ果てるまで、最期の血の一滴が流されるまで苦しみ、親から子への世代に渡って消耗しきってしまうような疲労は感じられない。人々が争う、その争いの不条理さの極限に作品は、見事なまでにあっけなく到達してしまう。クラブミュージックにのせて(実際、エンドクレジットはかなりポップ)慟哭と爆笑を同時にしてみせるようなフィルムである。
23 Oct 2009
