カメラマンの検索結果
まだ肌寒い夜道を歩いていると、不意に甘やかな香りに包まれる。闇の中で甘美な罠に落ちてしまったかのように。寒空を見上げると満開の白梅。デリケートで健気でありながら、凛と咲き誇る力強さに満ちている。若手女性監督の作品をより多くの人に届けるために立ち上がった、映画製作上映団体“桃まつり”。昨年話題を呼…
『ロルナの祈り』に2008年のカンヌ国際映画祭が脚本賞を与えたのは、率直に言って悪くない判断なのではないか、と勝手に思っていた。賞が質を保証するというのはまやかしには違いないのだけれど、カンヌ4作連続主要賞受賞という「失敗のなさ」は、何かにつけ話の矛先が向かいがちな「社会派」的なモチーフやドキュ…
冒頭、一瞬だけ映し出された砂丘のイメージは、その向こうにあるはずの海を想像させる。8mmで撮られた海。だが海は映されない。虚ろな表情の女性が通り過ぎ、砂のイメージだけが残される。その後『砂の影』は、その大半を薄暗い室内シーンに費やすことになる。 そこで、この作品の制作者たちが8mmフィルムを選…
Vol.3.ジャズ文化と笑い、フランキー、クレージー、ドリフ、タモリ……そして、「浅草三部作」 1.ジャズ文化と喜劇役者たち 世志凡太、フランキー堺、倍賞千恵子、クレージーキャッツ、ザ・ドリフターズ、タモリ ──監督は、ジャズ、あるいはロック、グループサウンズなど、ビートミュージックの演奏者や歌…
7.HD撮影──『オーバードライヴ』、『LOFT』 ──『オーバードライヴ』(2004)は東京と青森でトーンを変えていますよね。 芦澤:そうですね。東京のほうはグリーン系を多くして、わりと普通のビデオの感じで撮って、青森のほうは比較的グリーン系を少なくして黒を締める、という対比を強調しました。筒井…
1.窃盗とサスペンス 泥棒には、窃盗と強盗の2種類がある。窃盗とは、相手に見つからないように何ものかを盗み出す行為であるが、強盗は、その過程で暴力行為を伴わせる。どちらも盗みである点は同じだが、しかし映画メディアのなかで表現されたとき、両者の間には決定的な違いが生じる。端的に述べて、強盗はアクショ…
English 1. Introduction ──泥棒は、アメリカのジャンル映画、フィルム・ノワールや犯罪映画において中心的な人物像でありつづけています。そしてある意味では、ジャンル映画と泥棒の間には本質的な繋がりがあるのだと思います。つまり、ジャンル映画には、ある種のパターンとキャラクターの反復…
Introduction 2007年1月2日より東京都写真美術館で公開される『恋人たちの失われた革命』(2005)のプロモーションのために、フィリップ・ガレルが来日した。本作は知られる通り、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞に輝き、フランス国内はもとより世界各国で称賛を集めている。60年代後半以降の…
『NOVO』(2002) ©Unifrance Film International 目次 5. 現代映画は映像の可能性のパレット ──光とフレームを極める── 6. 事物と俳優の存在感を引き出す ──印象的な「顔」とフレーム── 7. 日本人は日常の演出家 ──ジャン=ピエール・リモザンのドキュ…
Introduction 日本でひそかに撮影が進められているジャン=ピエール・リモザン監督のドキュメンタリー。その撮影監督ジュリアン・イルシュ(イルシュは仏語式発音で、日本では通常ジュリアン・ハーシュとクレジットされる)は、ジャン=リュック・ゴダールやアンドレ・テシネ、ジャン=ピエール・リモザン…
芥川賞受賞の経歴もある新進気鋭の小説家(中谷美紀)は、新作の執筆に行き詰まってしまったことから気分転換のために引っ越しすることを思い立つ。殺風景な都内のマンションから緑あふれる郊外の一軒家へと居を移した彼女は、その家の真裏にすすけた廃屋を発見する。その建物はある大学の研究施設として利用されている…
0. 私たちは知っている。現実あるいは空想の世界で、目にした光景、出会った人々、触れ合ったものは、監視カメラで撮ったように、無差別かつ自動的に私たちのうちに記録されるものではないということを。記憶は意識的な判断に関わらず選択的に形成され、私たち自身に、そのルールの決定権はない。そして、さまざまな過…
Introduction 本インタビューは、菊池信之氏が録音として参加した『エリエリ・レマ・サバクタニ』が公開されたばかりの2006年3月6日、渋谷のユーロスペース事務所で行われた。録音技師の菊池氏は、青山真治、諏訪敦彦、萩生田宏治、ジャン=ピエール・リモザン、そして小川紳介らの監督作品にこれまで…
- S・スピルバーグ『リンカーン』──民主主義のカタルシス洋の東西を問わず、権力と映画はウマが合わない。 歴史上、権力が映画を利用しプロパガンダを作れば、ロクな作品ができた試しはないし……
- ジョアン・ペドロ・ロドリゲス レトロスペクティブ3月23日からアテネ・フランセ文化センターと川崎市民ミュージアムで開催。
- K編集長のcinema days vol.6『ギリギリの女たち』(2011年)を見たのは、昨年秋の第24回東京国際映画祭の特別上映「震災を越えて」でのことだった。
- 映画が生まれる場所
──第64回カンヌ映画祭報告[journal]批評家週間の充実等、見所多い今年のカンヌ。 - 無限に拡散する自己「像」を肯定できるのか?
——D・アロノフスキー『ブラック・スワン』[film]ダンサー、ニナの「像」をめぐって - イタリア人による“アンチ・ルネサンス”の賛歌
『四つのいのち』監督ミケランジェロ・フランマルティーノ インタヴュー[interview]老人やぎと木と木炭のサイクルを描く異色作監督。