リュミエールの検索結果
今年のカンヌ映画祭における、テレンス・マリックの最高賞パルム・ドール受賞という何の驚きも無い結末は、映画祭のコンペティションは如何に在るべきかを改めて問いかけた。確かに、圧倒的な映像美によって生命誕生から一組の父子の物語までを綴る壮大な交響詩『ツリー・オブ・ライフ』は、パルム・ドールに相応しい作…
今年の閉幕セレモニーの冒頭、司会のクリスティン・スコット・トーマスは、「カンヌ映画祭は映画を護る要塞である」というスティーヴン・スピルバーグの言葉を引用した。映像をめぐる技術革新や、情報ネットワーク環境の変化が映画の在り方を大きく変容させつつあることは言うまでも無く、カンヌ映画祭もまた、そうした…
冒頭、一瞬だけ映し出された砂丘のイメージは、その向こうにあるはずの海を想像させる。8mmで撮られた海。だが海は映されない。虚ろな表情の女性が通り過ぎ、砂のイメージだけが残される。その後『砂の影』は、その大半を薄暗い室内シーンに費やすことになる。 そこで、この作品の制作者たちが8mmフィルムを選…
2007年4月、第63回国際フィルム・アーカイブ連盟(FIAF=Fédération Internationale des Archives du Film)の東京大会が開催された。1938年に仏独米英の4カ国で設立されたFIAFは、以来、文化遺産および歴史資料としての映画の蒐集・保存・復元・上…
『映画愛 アンリ・ラングロワとシネマテーク・フランセーズ』 リチャード・ラウド著、村川 英訳、リブロポート、1985年 映画を蒐集・保存することには、ときに、違法すれすれのいかがわしさが付き纏う。非合法な取引やコピー(いまならダウンロード)に手を出す蒐集家はいつの時代にもいるものだ。フィルム・ア…
暗闇の中に子供(スタニスラス・ロビオル)の姿が見える。彼に投げかけられた光は後ろの壁に円を描き、彼の影をくっきりと映し出す。彼は戸棚の上に敷かれた小さな白いマットレスに腰掛け、小さな足をぶらぶらさせている。突然、ドアが開かれ、眩いばかりの光に満ちた部屋から男(ローラン・テルジェフ)が入ってくる。…
Introduction 日本でひそかに撮影が進められているジャン=ピエール・リモザン監督のドキュメンタリー。その撮影監督ジュリアン・イルシュ(イルシュは仏語式発音で、日本では通常ジュリアン・ハーシュとクレジットされる)は、ジャン=リュック・ゴダールやアンドレ・テシネ、ジャン=ピエール・リモザン…
デジタルメディアの台頭とともに「あらゆる映画が見られる」ようになったといわれる今日、映画批評はどう変わったのか。その本道はどこに求められるべきか。蓮實重彦氏に聞く。 (インタビュー/構成:三浦哲哉) 目次 1.データベース化の幻想 2.反復する顔、しない顔 3.70年代の映画批評 4.リアルタイ…
ポンピドゥー・センターは2006年4月から「イメージの運動」という総題のもとに新しい所蔵品展示をおこなっている。中心となるのはフィルムあるいはヴィデオを媒体とする作品が左右に投影される廊下上のエリアであり、それを挟んで絵画、彫刻、写真(そしてまたヴィデオ)などが配されている。 後者を組織する軸…
ドゥルーズ=ガタリは「偉大で革命的なのは、マイナーなものだけである」とカフカについて述べているが、エドガー・G・ウルマーについても同じことが言える。というのも彼らが「マイナー文学」について指摘した3つの特徴、言語の非領域化、直接に政治的なものへの個人の結合、言表行為の集団的組み込み、といったものは…
Introduction 2003年夏、ヨーロッパでは記録的な猛暑のために各地で山火事があとを絶たなかった。そんな中、わたしたちはスイスのローザンヌから車を飛ばしてイタリア・ジェノバへと向かっていた。当時、シルヴィオ・ソルディーニ監督作品、『アガタと嵐』(2004)を撮影中であったフランソワ・ミュ…
- S・スピルバーグ『リンカーン』──民主主義のカタルシス洋の東西を問わず、権力と映画はウマが合わない。 歴史上、権力が映画を利用しプロパガンダを作れば、ロクな作品ができた試しはないし……
- ジョアン・ペドロ・ロドリゲス レトロスペクティブ3月23日からアテネ・フランセ文化センターと川崎市民ミュージアムで開催。
- K編集長のcinema days vol.6『ギリギリの女たち』(2011年)を見たのは、昨年秋の第24回東京国際映画祭の特別上映「震災を越えて」でのことだった。
- 映画が生まれる場所
──第64回カンヌ映画祭報告[journal]批評家週間の充実等、見所多い今年のカンヌ。 - 無限に拡散する自己「像」を肯定できるのか?
——D・アロノフスキー『ブラック・スワン』[film]ダンサー、ニナの「像」をめぐって - イタリア人による“アンチ・ルネサンス”の賛歌
『四つのいのち』監督ミケランジェロ・フランマルティーノ インタヴュー[interview]老人やぎと木と木炭のサイクルを描く異色作監督。