J・L・ゴダール に関連づけられた記事

 平倉圭の『ゴダール的方法』は、ひたすらゴダールへ内在するその徹底性において前例を見ない映画論である。著者は、「ゴダールの映画それじたいを分析の方法とする」(12頁)と述べる。知られるように、ゴダールは、編集台における映像と音響のモンタージュによって新たに「思考」を生成させる「方法」を練り上げてき…
マノエル・デ・オリヴェイラは、その100歳を祝う昨年のカンヌ映画祭のイヴェントで、「作家の映画」を飛行機に喩えたフェリーニの言葉を引用しつつ、「映画祭とは空港であり、カンヌは最も美しい空港である」と述べた。 ケン・ローチ、マルコ・ベロッキオ、ミヒャエル・ハネケ、ラース・フォン・トリアー、ペドロ・ア…
『映画愛 アンリ・ラングロワとシネマテーク・フランセーズ』 リチャード・ラウド著、村川 英訳、リブロポート、1985年  映画を蒐集・保存することには、ときに、違法すれすれのいかがわしさが付き纏う。非合法な取引やコピー(いまならダウンロード)に手を出す蒐集家はいつの時代にもいるものだ。フィルム・ア…
&t en français  ポンピドゥー・センターにおけるジャン=リュック・ゴダール『ユートピアへの旅(1946-2006)』は5月10日から8月14日まで開催され、完全にその幕を下ろした。8月16日と17日の2日間で展示は完全に解体され、パリ郊外に程近いエマウス(Emmaüs)[*1]のなか…
日本語版   L'exposition de Jean-Luc Godard, Voyage(s) en utopie (1946-2006), au Centre Pompidou, ouverte au public du 10 mai au 14 août 2006, a définitiv…
『NOVO』(2002) ©Unifrance Film International 目次 5. 現代映画は映像の可能性のパレット ──光とフレームを極める── 6. 事物と俳優の存在感を引き出す ──印象的な「顔」とフレーム── 7. 日本人は日常の演出家 ──ジャン=ピエール・リモザンのドキュ…
Introduction  日本でひそかに撮影が進められているジャン=ピエール・リモザン監督のドキュメンタリー。その撮影監督ジュリアン・イルシュ(イルシュは仏語式発音で、日本では通常ジュリアン・ハーシュとクレジットされる)は、ジャン=リュック・ゴダールやアンドレ・テシネ、ジャン=ピエール・リモザン…
 2001年以来、実験的で多彩な上映プログラムによって観客を魅了してきた「ル・ステュディオ エルメス」がリニューアルオープンをむかえた。この上映施設があるのは、レンゾ・ピアノによるガラスブロックの建築としても名高い、銀座メゾンエルメスの10階。ガラスを通して差しこんでくるやわらかい光が、館内にここ…
目次 7.マルチトラック ……技術の進歩は素晴らしい…… 8.音の響き ……『ヌーヴェル・ヴァーグ』は、CDとして聴けるくらいに音楽的なものに近づいていった…… 9.音作りの全ての領域 ……自分で録音した俳優の声は官能的に響くのです…… 10.組んでみたい監督 ……いまもっとも一緒に働いてみたい映画…
4.映画音楽について ……企画の段階から決まっていることはほとんどありません…… 5.フレーム外の音 ……ゴダールは現場でおきている全ての音に興味がある…… 6.音のリアリティー ……ストローブ=ユイレのシンクロの考えには理解できないのです…… 4. 映画音楽について ……企画の段階から決まってい…
Introduction  2003年夏、ヨーロッパでは記録的な猛暑のために各地で山火事があとを絶たなかった。そんな中、わたしたちはスイスのローザンヌから車を飛ばしてイタリア・ジェノバへと向かっていた。当時、シルヴィオ・ソルディーニ監督作品、『アガタと嵐』(2004)を撮影中であったフランソワ・ミュ…
 ジャン=リュック・ゴダールによる教育的インスタレーションとして構想された展覧会、「コラージュ・ド・フランス」は、2006年2月に放棄された。今夏ポンピドゥー・センターのgalerie sudで見ることができるのは、その残骸である。新たな展覧会は、「ユートピアへの旅:JLG, 1946-2006 失…
 ごく大まかにいって、それはひとつの中庭を挟んだふたつの家のようである。  会場の中央を占める「昨日」のその中央は相当量の鉢植えで占められている。壁際で大小のフラット・テレビに少なからぬフィルムが映っている。ラング、レイ、ロッセリーニ、あるいはドーネン、パラジャーノフなど。それから自身の旧作。 …
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