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洋の東西を問わず、権力と映画はウマが合わない。 歴史上、権力が映画を利用しプロパガンダを作れば、ロクな作品ができた試しはないし、逆に映画が権力を中心化して描こうとするとき、作品としての輝きが損なわれてしまうという罠がある。とくに歴史上の権力者を主人公とする、いわゆる伝記映画は、生まれたときから死ぬ…
コスタ ジャンヌとほかのミュージシャンの間には違いがあります。ジャンヌは歌を歌いたがっていますが、しかし歌手ではありませんし、歌手になろうとしているわけでもありません。毎日スタジオにはいません。ルドルフはといえば、毎日ギターを弾いていて、これまでもずっとレコードを作ってきました。彼はミュージシャン…
Introduction  ペドロ・コスタには、抑圧的な言葉がまとわりつく。それは彼の作品に対する批評に限らず、長い期間スラムで被写体と生活をともにしつつ、ローキーで撮影を進める彼自身の制作姿勢や、さらにはそうして撮り上げられた画面が湛える冷徹な美しさがいやがおうにも見るものの言葉を奪い、やたらな…
オルタナティブ・シネマ 時代の未明から来るべき映画たち 『ラザロ-LAZARUS-』(井土紀州)、『国道20号線』(富田克也)、『へばの』(木村文洋)といった、製作から配給宣伝までを、すべて自らの手で行うインディペンデント映画が増えつつある。これはインディペンデント映画の新たな可能性の兆候な…
2008年4月初旬、新作『コロッサル・ユース』(2006)を携えペドロ・コスタが東京に降り立った。すでに何度か来日し、小津への敬愛を隠さず公言する彼にとり、日本は馴染みが深い国だというべきなのかもしれない。『血』(1989)、『溶岩の家』(1994)など初期の傑作を見たばかりであった私は、『ヴァン…
 闇の中で仄かに浮き上がるむき出しのコンクリートの廃墟の3階から、静けさを突き破るように、家具が放り出される。ひとつ、またひとつ。不気味に広がる場末の闇に落下する家具の破壊音が響き渡り、もう取り返しがつかない事態が進行していることを告げる。次に階段の暗がりでナイフを突きつけ、鋭い眼光を放つ老女のシ…
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